日本におけるてんかん患者の割合とは?

それまで普通にしていた人が突然けいれんを起こして意識を無くしてしまうてんかんという病気は、その症状の見た目が激烈なため恐ろしくて非常に特殊な病気だと思われているかもしれません。
てんかんの症状に襲われた人を実際に目にした人が少ないこともこの傾向を助長しています。

しかし2010年発行された「てんかん研究27巻3号」に掲載されたレポートによると、日本人の1000人のうち5人から8人程度の割合でてんかんの患者さんがいると推計されています。
これは人数にすると60万人から100万人にのぼります。
この数字を見ると、実はそれほど特殊な病気でもなくありふれた病気であることがわかります。

日本人の場合、てんかんの患者さんは3歳までの乳幼児で発症する割合が多く18歳までの発症が全体の約8割を占めます。
成人になってから発症する人はかなり少なくなりますが、60歳以上の高齢者になると再び発症率が上昇します。
これは、てんかんが、脳神経細胞が異常に多くの電気的活動を行った結果として発作を起こす病気だからです。
脳の損傷がその原因の大きなものとなっているため、脳血管障害が増える高齢者での発症がみられます。
今後日本人の高齢化が進むにつれて、てんかん発症の高齢化も進むものと考えられます。

日本人のてんかん患者の多くは、先天的な脳の異常が原因となる症候性てんかんを1歳までに発症する例が多いです。
その後の12歳くらいまでに起こるてんかんははっきりした原因が特定できない特発性てんかんが多く、こちらは成人になるまでに治ってしまうことが多いです。
成人以後は脳の損傷が引き金となる症候性てんかんの患者さんが多くを占めます。ただその割合は医療技術の進歩によって減少傾向にあります。

ちなみにてんかんはごくわずかな例を除いては遺伝しませんし、感染もしません。
また乳幼児ではてんかんの発作とよく似た症状が出る全く別の病気にもかかりやすいので、症状が出たからといってすぐさま断定は出来ません。
むしろ別の病気のほうが恐ろしい場合もありますので、病院での診察を受けましょう。

世界全体でみるてんかん患者の割合とは?

WHOの2017年のレポートによると、全世界で見るとてんかんの患者さんは約5000万人いると推計されています。
世界平均では人口1000人あたり4人から10人と考えられていますが、いくつかの研究によりますと所得が低いか中程度の国々では割合はもう少し高く、人口1000人あたり7人から14人ほどとなっています。
これは妊娠時や出産時に適切な医療・衛生環境を整えられないために、脳の損傷を負って生まれてくる赤ちゃんが多く症候性てんかんの発症数が増えるためと考えられています。

高所得の国では、年間に新たに発症する患者さんの割合は人口10000人に対して3人から5人と推計され、それよりも所得の低い国ではこの割合は2倍以上になると推定されます。
全世界の患者さんのうち約8割は低所得から中所得の国にいます。
また患者さんの6割は原因が特定できない特発性てんかんです。これは日本とは逆の割合になっています。

このようにてんかんは全体的には医療環境の整っている先進国では少なくなる傾向にありますが、一方では欧米で気になる研究も発表されています。
アメリカ、スウェーデン、アイスランドで調査したところ70歳以上の高齢者の発症率は10歳未満の発症率よりも高くなるという結果が出たのです。
これは脳卒中、アルツハイマー病、動脈硬化など高齢化によって引き起こされる病気が原因となっている事が挙げられます。

日本では同様の調査研究はまだされていませんが、同じような傾向があるのではないでしょうか。
高齢者のてんかんの症状の場合にはけいれんが少ないか起こらずに意識が消失するという特徴がよくみられるため、他の病気と誤診されるケースもあります。
見逃されている患者さんがまだ沢山いるのでしょう。