ラミクタールは、1990年に海外で発売され、2008年に日本に導入された比較的新しい抗てんかん薬です。
最初はてんかん患者への併用療法に用いられていましたが、そのうち精神安定効果が発見され2011年から双極性障害の治療に対して応用され、さらに2014年以降にはてんかんの単独療法にも用いられている優秀な薬です。
ただし、高い効果がある一方で併用方法など服用の仕方に注意が必要な点、副作用に気をつけなければならない点も見逃せません。
ラミクタールの効果や特徴、注意するべき副作用について学んでいきましょう。

ラミクタールの効果について

ラミクタールは、興奮性神経伝達物質の遊離を抑制して、神経の過剰な興奮を抑えるてんかん薬の一種です。
ラミクタールという名称は商品名であり、薬の名称自体は「ラモトリギン」といいます。
ラモトリギンに含まれる成分はてんかん症状における効果もある一方で、双極性障害における気分の変動を抑える効果があるため、うつ状態の抑制や躁状態の再発防止にも用いられている薬です。

うつ状態の抑制や躁状態の再発にラミクタールが有効なのは、脳神経の電気信号をコントロールする効果があるからです。
一方、てんかんは脳の神経の電気信号が過剰に発せられ、意識障害やけいれん発作を起こす病気です。
ラミクタールが持つ脳神経の興奮を抑える効果を利用して、てんかん発作の予防から躁鬱の抑制剤へと転換されています。

薬の適応範囲となるのは、強直間代発作・大発作や子どもに発症することの多い欠神発作、そして治療することが難しいとされるレノックス・ガストー症候群における全般発作などが挙げられます。
また、単剤療法として用いられている他に、相乗効果を高めることができるため、別の抗てんかん薬と併用することも可能です。

薬の持つ持続力は長く、半減期は約31~38時間となっています。
さらに、先述の通り別の抗てんかん薬、たとえばバルプロ酸ナトリウムを併用することで約2倍にまで延長することが可能です。
このとき代謝は、主にグルクロン酸抱合によって行われます。
形状は「チュアブル・ディスパーシブル錠」と呼ばれる非常に利便性の高い口腔内崩壊錠となっています。
水がなくても服用可能で、水で溶かしてから飲んでも問題はありません。

ただし、注意したい点としてはてんかんの原因そのものを治せる薬ではありません。
この薬だけに限らず、多くのてんかん薬においては、予防を兼ねて長く飲み続ける必要があり、根絶治療ではないことを念頭に置く必要があります。
しかし、減量が不可能というわけではなく、発作が長期間のものでなければ医師の管理のもと、長期間かけてゆっくりと減量していくことは可能です。

注意すべき点としては、まれに皮膚障害など重い副作用を引き起こすことがある点です。
発疹や発赤といった皮膚の症状、口内炎などの粘膜の異常には十分に注意する必要があります。

ラミクタールには副作用があります

主な副作用としては、発疹や頭痛、胃腸障害や意識障害などが挙げられます。
もし発疹や紅斑、唇や口内のただれやのどの痛み、目の充血など皮膚や粘膜における異常があらわれた場合、すぐ医師に連絡してください。
ごくまれに、重い皮膚障害へと発展する恐れがあります。
中でも、飲み始めの2ヶ月間は要注意です。
バルプロ酸を併用する場合や用量が多い場合、子どもに処方する場合においては十分に注意しましょう。

この他、眠気やめまい、二重にぼやける複視や頭痛、吐き気などを催すなどが挙げられます。
肝機能値の異常が見られた場合は要注意です。
健康な方であればさほど心配する必要がありませんが、副作用が強く見られる時は早めに医師に報告して、対処してもらう必要があります。
肝臓・腎臓の疾患を持っている方は薬の排泄が遅れがちになるため、服用量や服用間隔には注意が必要です。
別の抗てんかん薬でアレルギーを発症した経験のある方は、湿疹など皮膚症状の発症に注意してください。

上記よりも症状が進み、発熱や目の充血、口唇・口腔粘膜、陰部のびらんなどの症状が見られたら、中毒性表皮壊死融解症・皮膚粘膜眼症候群の疑いがあります。
発疹や発熱、顔面浮腫の場合は薬剤性過敏症症候群、貧血や喉の痛みの場合は再生不良性貧血や汎血球減少・無顆粒球症が考えられます。

全身倦怠感や食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる場合は肝炎や肝機能障害・黄疸である可能性が高いです。
首の硬直や発熱・頭痛、吐き気・嘔吐の場合は無菌性髄膜炎が疑わしいでしょう。このような症状が見られたら、使用をやめてすぐに医師の診療を受けてください。

また、他の薬と併用する際にもいくつかの注意点があります。
抗てんかん薬であるバルプロ酸ナトリウムを併用する場合、含まれる成分の影響でラミクタールの代謝が遅れて体内に通常の2倍近く長い期間効果が残ります。
減量するなど服用量や服用間隔を調整しなければなりません。
他にも、フェニトインやフェノバルビタールに含まれる成分の影響で、ラミクタールの血中濃度を低下させます。同様に併用する場合は、増量するなどの対応が必要です。

全てにおいて共通しているのは、てんかんの薬を自分の判断で勝手に休止すると、反動により重い発作を起こす可能性があります。
用法用量を守ること、少しでも異変を感じたら速やかに主治医に連絡・報告するようにしましょう。

てんかんの症状とは?

てんかんは慢性的な脳の疾患であり、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作症状を引き起こす病気です。
年齢や性別、環境に関わらず発症します。
主な症状であるてんかん発作はいくつかの種類があり、突然倒れて意識を失いけいれんを起こす大発作、体の一部が勝手に動いたり会話の途中で突然意識を失うといった小発作などが挙げられます。

意識を失って倒れてしまう大発作における状態の特徴としては、目を開いたまま瞳が上転したり、歯を力一杯食いしばったり、呼吸が一時的に停止したり、けいれんを起こすなどが挙げられます。
また、大発作の中でもさらに細かく種類が分かれており、身体全体が硬直してこわばる強直発作や、全身にけいれんが見られる間代発作、こわばりからけいれんも併発する強直間代発作などがあります。
起きて意識のある時に両手足が一瞬震えるように動くミオクロニー発作、身体の力が抜けてしまい立っていられず卒倒して気を失う脱力発作も同じように大発作に含まれます。

子どもに多く見られる症状として、会話の途中で突然意識を失って全身の動きが停止する側頭葉起源もしくは欠神発作があります。
意識はあるものの上の空でうろうろと動き回る発作もあり、これらは概ねすぐに回復するものの、意識を失っていた間の記憶がないのも特徴です。

大発作は全身に見られる症状でしたが、身体の一部が勝手に動くものを部分発作と呼びます。
部分発作は、脳の一部の神経細胞が異常な興奮を起こして、発作が起こります。
発作時に意識障害がない場合、つまり気を失っていない時に起こるものを「単純部分発作」と呼び、意識障害を伴っている・気絶している時に起こるものを「複雑部分発作」と呼びます。
一瞬だけ意識が途切れて戻ったり意識はあっても、首や目が勝手に動く運動発作は単純部分発作に該当します。
脈絡のない言葉を発したり、ろれつが回らなくなったりする失語発作なども同じ分類です。

この他、他者から見ても分からない自覚症状のみの発作も存在します。
身体の一部の部位が痺れたり感覚がなくなる体性感覚発作、目まいや吐き気を伴う自律神経発作、視覚や嗅覚・聴覚などに異常が起きる感覚発作、そして不安・恐怖感をあおる精神発作も単純部分発作です。

てんかん自体は、脳の病変が原因である「症候性てんかん」と、神経細胞が発する微弱な電流に対して過敏であることが原因の「特発性てんかん」の2種類に大別されます。
しかし、現在のところ脳全体が電気信号に対して過敏になってしまう原因までは解明されていません。